- 2016-3-14
- コラム
「10人中9人は今と同じ仕事をしていない?」 技術革新は私達を幸せにするのか、それとも職を奪うのか?
昨年ぐらいからIoT(Internet of Things)という言葉がメディアで盛んに見られるようになってきました。あらゆる物とインターネットが繋がっていくと同時に大量のデーターを瞬時に解析したり、人工知能(AI)と呼ばれるぐらいにコンピューターが進化してきます。これによって我々の生活やビジネスが急速に変化すると言われます。
各自動車メーカーの最近のCMで見られるように車の運転の自動化は目前まで来ているようです。戦略会議の後、仲間と少しお酒を飲んで楽しいひと時を過ごしたあなたは、誰に向かって言っているのでもなく、ここに車を止せて言います。そうすると静かに、あなたの愛車が近寄ってきます。自動運転車です。あなたが、眠っていても自宅に自動的に到着し自動音声が「ご自宅に到着しました」と知らせてくれる。真夏の暑い日にも関わらず、家のセンサーがGPSであなたの到着を感知し、事前に好みの快適な室温にして待ってくれている。
職場でもこれまで、あなたが手入力していた領収書の金額をスキャナーが読み取って瞬時に会計処理が終わってしまう。カード決算していれば、その場で会計システムに金額が送付される。工場にも人の姿が見当たらない、完全自動化になり出来上がった製品の配送も無人倉庫から自動的に配送されていく。
過去は多くの人が働いていた工場や倉庫には、人の代わりに機械やロボットの姿が目立つ。このような社会がもう目の前に来ています。既にアップルは自動音声認識システム「Siri」をアイフォンに装備し、2020年の施行を目指して政府は自動運転車の法整備に取り掛かり、ZMP(ロボット開発ベンチャー)とDNAが2020年の開業に向けてロボットタクシーの合弁会社を設立しています。
そんな中で、Googleの創業者であるラリー・ページは「10人中9人は今と同じ仕事をしていない。人が物理的に行う仕事は機械に置き換わっていく」とコメントし、マイクロソフトの創業者のビル・ゲイツも「今後20年の内に多くの仕事がソフトウェアによって置き換えられる」と言っています。
さらに衝撃的な分析発表があります。それはオックスフォード大学准教授のマイケル・オズボーンによるもので、彼は今後10年から20年の内に米国の702種の職種の内の47%が無くなると分析しています。
さらにマサチューセッツ工科大学の研究者であるアンドリュー・マカフィーは米国のGDP(国民総生産)がリーマンショック以降既に回復し成長しているにも関わらず、雇用比率が回復しないのは、多くの仕事が機械によって置き換わっているからだと分析し、これは今後ますます広がっていき機械化によって潤う人とそうでない人との間に格差がますます広がっていくと予想しています。
このような社会ではどのようなリーダーが求められていくのでしょう。そこについて、ボストン・コンサルティングのシニアパートナーであるロザリンダ・トーレスは過去の実績では21世紀のリーダーは見極められないと言う前提のもとに3つの重要なポイントを指摘しています。変化に備える準備をどのようにしているか。人脈の多様性の広がりそして、過去の成功を捨てられるかの3つです。
また、ダニエル・ピンクは著書「ハイコンセプト」の中でこれから進んでいく技術革新の時代をコンセプトの時代と定義し、創造力や共感力が明らかに差が出る要因となる事を示しています。そしてそのコンセプトの時代では、リーダーには6つの力を持って組織を率いていく事の必要性を強調しています。
デザイン、物語、全体の調和、共感、遊び心、生きがいの6つです。
これらの中で、デザイン、物語、共感、遊び心の4つは如何にして人の感情を動かし、これを行動の源に据える事が未来を切り開く要素になると明言しています。また、全体の調和でも、人や組織の壁を乗り越えていく力、目の前の出来事を単純に捉えるのではなく、他との繋がりを見ていく力を示しています。
そして生きがいでも、人が物の欲だけで動く時代の終焉を明示し、金銭のインセンティブで人を動かそうとするマネージメントに警告を与えています。
まだ変化のスピードが緩やかだった20世紀までの時代では、過去の経験や知識、スキルなどで組織を牽引し成果を出していく事が可能であったかもしれません。しかし、21世紀に入り急速に進む技術革新の下では変化のスピードはこれまでの体験、知識やスキルでは凌駕するものであり、人と人との繋がりから一人の力では及ばない力を引き出して対応していく事が急務になっている時代です。20世紀には置いてきたかもしれない、自分自身の感情、人の感情に気づき、繋がりを得る力。人としての本質的な力が求められ、無くてはならない力となっている時代になっています。
私達は、この人としての本物の力である人間力を基礎としてビジネス上の体験、知識そしてスキルを見つけて、会社、社会そして日本を変えていく存在になっていきたいものです。
~人が生きる奇蹟の組織創造を目指して~ 株式会社ワールドユーアカデミー
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