- 2016-8-5
- コラム
ハレとケの民族学と養生訓に学ぶ!粗食こそが不老長寿の秘密。今密かに流行する不食という生き方!
ハレとケの境界は明確に分かれていた!
民俗学を纏めてきた柳田国男氏によると日本人には、ハレとケの考え方があり、日常の生活ケと、特別な行事であるハレの場とは完全に分かれていたといいます。
勿論それは、食事にもいえることで、ケの食事である日常の食事は基本的に、毎日毎日同じものを食べる事になります。何を食べるかといえば、それはご飯が基本になります。このご飯というのが、白米であるか、麦飯か、玄米か、雑穀米かの違いはあっても、一汁一菜が食事の基本となるのです。ご飯と味噌汁、それに野菜の煮物か漬物などが付くだけの粗末ともいえる食事こそが、ケの食事なのです。
ケの日は一汁一菜、毎日変わらない
ケの日の食事が決まっていることは厳格なまでで、下級藩士の子であった俳人の内藤鳴雪は、魚が膳に上るのは、1日と15日、28日の3回と決まっていた。と記しています。つまり、ケである普段の食事は大変につましく変化の乏しいものだったのです。
福岡藩の儒学者、貝原益軒が83歳の時に書かれた養生訓によると、「養生の術をつとめまなんで、久しく行はば、身つよく病なくして、天年をたもち、長生を得て、久しく楽まんこと、必然のしるしあるべし」と言っています。
人間はきちんとした生活をしていれば、長生きできますよ。というわけですが、その中で貝原益軒が、繰り返し、繰り返し、しつこい程述べているのが、腹八分目ということです。とりわけ魚等はごくたまに食べるに留めて、野菜や穀類を食せといいます。
天海は納豆を好み、家康は麦飯を生涯食した
徳川家康は「長命こそ勝ち残りの源である。」という名言を残しているとされますが、家康が生涯食べ続けたのは麦飯と豆味噌でした。家臣が気を利かせ、椀の底に白飯を盛りその上に麦飯をかぶせて出した処、それに気づいた家康は、「わしの心を察していない」と激怒したというエピソードがある程です。家康はその言葉通り、平均寿命が40年と言われる時代に75歳まで長生きしました。
家康の知恵袋と言われた天台宗の高僧である天海に至っては108歳という驚くべき長寿だったといわれています。天海は納豆汁とクコ飯を好んで食していました。両者共に粗食を常としていました。粗食が長寿と関連するのでしょうか?
老化を遅らせ、寿命を延ばす「長寿遺伝子」の存在が明らかになった。
その答を現代医学が解き明かしています。実は最近の研究で、長寿遺伝子というものがあると言う事が、発見されました。長寿遺伝子とは、操作をすれば、老化を遅らせ、寿命を延ばす遺伝子のことです。人の細胞の中には、老化や寿命をつかさどる長寿遺伝子が50個から100個ぐらいはあるといわれています。
この遺伝子は、米国・マサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガレンテ教授が8年の歳月をかけて2003年に酵母菌の中から、サーチュイン遺伝子という老化を遅らせ、寿命を延ばすという、夢のような不老長寿遺伝子です。
この長寿遺伝子にはスイッチがあり、スイッチをおさないと発動しません。人間の長寿遺伝子は眠った状態にあるのです。長寿遺伝子のスイッチを入れるには、どうすればいいのでしょうか?それはカロリー制限をする事です。摂取カロリーが少なくなると、長寿遺伝子のスイッチが入るのです。
サルもカロリー制限すると若々しく長生きした
マサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガレンテ教授の実験ではショウジョウバエで約30%、線虫では約50%寿命が延びています。また様々な研究機関が、不老長寿の研究を行っています。
米ウィスコンシン国立霊長類研究センターは、アカゲザル76匹を、カロリー制限を一切しないグループと、厳しいカロリー制限を課したグループに分けて、1989年から25年間という長い期間をかけて、2つのグループの疾病や死亡率を比較する実験を行っています。
食事制限をしたサルには、通常のサルが摂取する量から30%のカロリーを制限した量のエサを与えました。 その結果、食べたいだけエサを食べてきたサルでは、疾患リスクは2.9倍に、死亡リスクは3倍に上昇しています。何よりも制限を受けたサルの毛並みは若々しく艶があったのです。この場合サルでは、腹7分で長寿スイッチがはいったようです。
マクロビオティックが海外セレブに大人気!!
日本古来の粗食が、今や海外セレブ達の間で、マクロビオティックとして、とても人気になっています。マクロビオティックは第二次世界大戦前後に食文化研究家の桜沢如一氏が考案した食事法です。日本では玄米食とか、玄米菜食、正食ともいわれています。日本古来の、玄米などに、近くで取れる野菜や海藻などを食べる食事法のことです。
この食事法が、マドンナやトム・クルーズ、ニコール・キッドマン等海外の有名セレブが実践していると評判になり、日本でもまた人気が出ているようです。
元々は昔から日本で食べられていた食事ですが、もう一度見直され始めています。最近では酵素玄米を主食にしたレシピもとても人気になっています。
老年期に入っても、若々しく人生を楽しむことができる!
このように、食生活や生活習慣を自分自身で節制することで、たとえ老年期と言われる年代、今風に言えばシニア世代になっても、健康で自由に人生を謳歌する人々が増えて来ました。
同じ年代でも、もう見た目では40年以上も異なって見えることすら当たり前になっています。
このような飽食の時代になって、それに逆行するように不食という生き方を選ぶ人たちもいます。実際に全く食べない人がいるというのですから、事実を疑いたくなりますが、一日に青汁だけしか飲まないで生きている人は、日本にも存在します。森美智代さんは、難病を克服するために一日青汁一杯の生活を、15年以上続け難病を克服しています。
全く食事をせず、太陽エネルギーで生きているというのは、インドのプララド・ジャニ氏で6歳の時に水と食料を絶ち、以降ずっと不食を実践している最も有名な不食実践者の一人です。いく度も研究機関で監視実験が行われましたが、その実験では水も飲んでいないと確認されています。ここまでくると真偽は不明としか言えません。
人間は過酷な環境の筈の自然に還りたいのかもしれない
しかし不食に近い人々は、沢山います。例えば1日一食しか食べない人々では、小倉重成、黒川紀章、森田一義、北野武、京本政樹、GACKTなどなど。定期的なプチ断食となると、かなりの数に上ります。美川憲一、釈由美子、小倉優子等女性陣が多いようです。
このような人々に共通しているのは、大変にエネルギッシュに生きている方々が多いということです。そして皆とても若々しい。長寿スイッチが入っているのでしょう。しかし1日一食となると、貝原益軒の提唱した腹八分の半分くらいのカロリー摂取となります。大丈夫なのでしょうか?
人は飽食には慣れていない
ところが紀元前中国の基本古典医学書「黄帝内経素問」のなかで「1日2食にすると鼓張(消化不良による腹部膨満感?)という病気になることがある」と記されていて、そうすると1日1食でいいことになってしまいます。
貝原益軒の腹八分は、粗食をさらに腹八分にしたものだと考えるべきで、どう考えても現在の飽食の時代の腹八分ではないという意見もあり、何だか飽食は随分、分の悪い時代になりました。
古代エジプトのピラミッドには次のような碑文が残っているそうです。「我々は普段食べている食べ物の4分の1で生かされている。あとの4分の3で医者が生きている」これは実に辛辣な意見ですが、確かに飽食は、高血圧、糖尿病、血管病、肥満などの多くの病気を引き起こしました。古代エジプトの支配階級は、現代のように飽食に倦んでいたのかもしれません。
人生の楷を握るのは自分自身。人生の羅針盤は自分で決めるしかない
現代は、ハレとケは混在し既に混沌としています。毎日ハレの日のように外食や、豪華な食事をしていては、身体はすっかり老いてしまうでしょう。これだけ食べ物が溢れている時代は、かえって困難な時代なのかもしれません。
しかし意思の力で、食を選ぶことが出来ます。昔、たまのご馳走が、とても贅沢だったように、例えば、すき焼きが、なにか大きなイベントを意味するような時代に還ってもよいかも知れません。
日ごろの食事が、極ささやかなものならば、健康と長寿と、なにより意欲的に若々しく生きることが出来るのですから。
~人が生きる奇蹟の組織創造を目指して~ 株式会社ワールドユーアカデミー
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