直観はひらめきを産むのか?脳のメカニズムを知って、イノベーションを起こす組織力を作る

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脳はひらめきを産むのだろうか?脳のメカニズムを知る必要がある。

1983年ゲッテイ美術館に持ち込まれたクロース像は1000万ドルの高値がついていた。勿論
ゲッテイ美術館は1年4ヶ月にわたる様々な科学的検査の結果、この像は本物だと鑑定した。ところが、その後多くの著名な考古学者や美術史学者が、こぞっておかしいと言い始めた。理由は直観だ。何かがおかしい。これは地面から掘り出されたものでは無い。違和感があると口々に言ったのだ。

科学的な検査をパスした筈だったが、人間の直観がそれを完全に否定してしまったのだ。そして検査をすり抜ける方法も指摘されている。現在もクロース像はゲッテイ美術館に所蔵されているが、年代については「紀元530年頃、又は現代の模造品」と記されている。人間の直観が、科学を超えた事例といえるだろう。

iStock_3049807_MEDIUMどのような情報も、瞬時の判断力がなければ決定打にはならない。

2000年春アメリカペンタゴンは2億5000万ドルかけて、史上最大規模の演習を行った。アメリカ同盟軍対ならず者司令官の演習で、アメリカ軍チームは史上最強の知的リソースとして、「オペレーション・ネット・アセスメント」を与えられ政府のあらゆる部署から情報が与えられた。ところがならず者チームが、アメリカ軍チームの16隻の艦艇を海に沈め2万人の兵力をそぐ結果に終わる。直観が働いたのだという。そうすべきだと思ったというのが、ならず者司令官の弁である。

アメリカチームは多くの情報を解析する事に追われ、その上さらに行動する前に敵の情報を確認することを優先して、直観を働かせることはなかったのだ。

iStock_35302598_MEDIUM脳の活動は無意識状態のほうが、20倍も活動している。

人間の直観力が論理的な知性に勝るのは、脳の仕組みにあるという。M. E. レイクル(ワシントン大学)脳はいつでも“スタンバイ”によると休んでいる時でも脳は「基底状態」の活動を続け、これら基底状態の脳活動の中心となっているのは「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN) 」と呼ばれる複数の脳領域で構成されるネットワークだ。DMNの異常が、アルツハイマー病や統合失調症などのさまざまな神経疾患の原因になっている可能性が浮かび上がっている。脳は人間が活動している時よりも、瞑想したり、休んでいる時の方が、20倍も働いている事が発見されたというのだ。これは脳科学の新たな潮流になっているようだ。

iStock_75282919_MEDIUM直観に従う方が、良い結果につながる時もある。

私たちが無意識に直観と呼んでいる現象が、脳の中で論理的には浮かぶことがなかった多くの情報の精査の結果。に過ぎないのかも知れないのだ。困ったことに直観は論理的に考え始めると、働くことが出来なくなる。往々にして直観に従った方がより良い結果が出ても、私たちには理由を説明することはできない。

満足度についても、同様の結果がでている。バージニア大学のティム・ウィルソン氏らが、「直感と満足感」に関する調査を行こなった。被験者を直観によって絵を選ぶグループと、何故その絵を選んだか理由を説明して選んだグループに分けて、その後の満足度を調査したのだ。その後選んだ絵を自宅に飾ってもらって結果を聞いてみると、直観で選んだグループはその絵に満足していたが、説明して選んだグループは、「違う絵を選べばよかった」と回答したというのだ。

iStock_94680417_MEDIUMコカ・コーラは、パッケージに代表される企業イメージのことだ。

コカ・コーラ社の失敗例を見てみよう。かつてコカ・コーラ社はペプシコーラの追い上げに脅威を感じていた。なぜなら、ペプシコーラが、ペプシキャンペーンという一大イベントを巻き起こし、ブラインドテスト(どちらの商品かわからないようにして美味しい方を選ぶ)で消費者にどちらが美味しいか比べて貰ったのだ。結果はペプシコーラの圧勝だった。焦ったコカ・コーラは味を変更したニューコーラを作ったが、これは大変不評だった。結局コカ・コーラは消費者が、美味しくないと言った旧コーラで、今も全世界一位のシェアを誇っているという皮肉な結果となった。

iStock_75415013_MEDIUM 市場調査は理性で答えるが、購買行動は無意識の行動だ。

これは無意識による感覚転移が影響したと考えられている。消費者はコカ・コーラを飲む時、あの赤いパッケージを無意識のうちにコカ・コーラそのものと認識しているのだ。味にしても少量の試飲の場合と1本飲む場合では、美味しいと感じる感覚は異なっている。コカ・コーラが失敗したのは、消費者が味だけで選んでいると思ってしまったせいだ。そしてコカ・コーラを飲む時には、あの赤いパッケージを見ないで飲むことはないのだ。アンケートなどの市場調査と実際の客の購買行動とは、必ずしも一致しない。アンケートでは客は答えを考えなければならないが、実際には無意識で選ぶものだからだ。

ストレスで興奮状態にあるときには、無意識の判断力は働かない。

脳の無意識の判断力が、非常に優秀だと言う事が良く判った。しかし無意識の判断力が大きく狂うことがおきる。それはストレスが大きくなった時だ。白人警官が無抵抗で武器を持たない黒人を射殺する痛ましい事件が、おきてしまう事があるが、これがその例になる。

「戦争による人殺しの心理学」(筑摩書房)の作者元陸軍中佐デーブ・グロスマンによるとストレスによって最適な行動がとれる心拍数は毎分115~145だと言う。心拍数が145を超えると、極度の興奮状態になり、行動が制御できずに攻撃的になるという。このような理由により多くの警察は高速のカーチェイスを禁止している。カーチェイスの後白人警官が黒人を殴り殺した事件の教訓による。このとき上司の静止を警官は聞かなかった。聞こえなかったからだ。脳が正常に機能するためには、ストレスが大きな障害となるからだ。

iStock_84520261_MEDIUM 脳に必要な酸素を運ぶ血流を増加させたければ、運動をする必要がある。

では脳が最適に働くためには、何が必要だろうか?人間が生きていくのに必要なのは、食料、水、酸素だ。この中で一番生命に重要な働きをするのは酸素だ。酸素は5分も供給されなければ死んでしまうからだ。その酸素をより多く供給するには運動が一番最適と言える。運動により大量の血液と共に酸素が脳に供給されるために、脳の活動が活発になるからだ。運動は筋肉よりも脳をより成長させているのだ。

人類学者のリチャード・ランガムは、かつて人類は一日に男性で10~20キロメートル歩いていたと言っている。女性はその半分だという。人類は動物なので動くように適して作られている。現代のようにデスクに座っている生活には適してはいないようだ。

人間独自の認知能力は身体活動の中で鍛え上げられてきました。それではどのくらい運動すればよいのだろうか?1回30分の有酸素運動を、週に2~3回行えばアルツハイマー病にかかるリスクが60%低下し、脳卒中になるリスクを57%軽減できるということである。思ったよりも少ない運動でも良いようだ。

iStock_90705331_MEDIUM 能力を活性化したければ昼寝をしろ!

そしてもう一つ大切なのが睡眠だ。良質な睡眠がスッキリした目覚めを約束することは経験済みだろう。睡眠の父と呼ばれたウィリアム・デメントは「夢を見ることで、私たちは誰もが毎晩静かにつつがなく狂うことが許される」と含蓄ある言葉を述べている。

ところでこの睡眠には、もうひとつ大切な睡眠があった。それが昼寝なのだ。シエスタとして昼寝を習慣化している国もあるが、まだまだ取り入れられていない国の方が多いのが現状ではないだろうか?アメリカ航空宇宙局NASAによると、26分の昼寝でパイロットの能力が34%も高まったという。

第36代大統領であるリンドン・ベインズ・ジョンソンは午後に必ずパジャマに着替えて30分の昼寝タイムを取ったという。午後の眠気をそのままにしていると、絶え間ない倦怠感に悩まされる事になる。お昼寝ゾーンの間、脳は上手く働かない。社員の能力活性化に26分の昼寝を取り入れるのはどうだろうか?

iStock_82462437_MEDIUM未来のリーダーは羊飼いが相応しい

ハーバードビジネスレビューの2月号で、ハーバード・ビジネススクールのリンダ・ヒル教授の『未来のリーダー』が面白い。リンダ・ヒル教授は「羊飼い型のリーダーシップ」と「集合天才としてのリーダーシップ」を未来のリーダーに不可欠な能力だとしている。「羊飼い型のリーダーシップ」は、リーダーというものは前に立って指揮をとるのではなく羊飼いのように、背後から指揮を取るのだとう。羊飼いとは面白い表現だ。

1人の天才の直観力に頼るのではなく、10人の凡人のひらめきを纏めてイノベーションを、おこそうとの提案だ。成長できる組織のリーダーは、失敗を許容でき、イノベーションを歓迎し、社員のアイデアを吸収する力を必要としているのだ。

iStock_31563052_MEDIUM社員の発想がイノベーションを産む

イノベーションで成功しているグーグルでは、社員が何をしても良い時間を、毎日設けているという。グーグルのイノベーションは、この時間の産物なのだ。社員一人一人の発想や直観をそのまま吸収する体制こそは、まさにヒル教授が推奨する現代型のイノベーションスタイルといえるのではないだろうか。

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~人が生きる奇蹟の組織創造を目指して~ 株式会社ワールドユーアカデミー 

出典:ブレインルール(ジョン・メディナ)「最初の2秒が何となく」が正しい第1感(マルコム・グラッドウェル)M. E. レイクル(ワシントン大学)脳はいつでも“スタンバイ” ハーバードビジネスレビュー2月号リンダ・ヒル教授の『未来のリーダー』

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