「僕らは未来を作るんだ!」スティーブ・ジョブズとザッカーバーグの共通項は理念の共有であった。

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ビジョン経営はイメージを映画みたいに共有する

経営者は、会社の目指すべき方向や企業の理念を誰が聞いてもわかるように提示して、従業員が一丸となって目標にむけて進めるようにしておきたいと考えはじめています。

そのような明確な目標をイメージさせる経営方法をビジョン経営といいます。

ビジョン経営を会社として取り入れている企業としてわかりやすい例をあげれば、味の素グループの「グローバル健康貢献企業」やサークルKサンクスの「一番の満足をあなたに」などがあげられています。

 いずれもその企業が目指す理念や目標が、社員やお客様にわかりやすい形として表現されていることがわかります。 

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少年よ大志を抱け!

このように企業として目指す形を目に見えるようにイメージさせていくのは、大切なことなのですが、その目標を設定する上で知っておいて欲しいことがあります。

 プラグマティズムという実用的な哲学が、いま新たに心理学や経済界において見直されているというのです。

 プラグマティズムという思想はもともとアメリカの哲学界で展開されてきた実用主義というような理論でしたが、ハーバード大学哲学科教授であったウィリアム・ジェームズにより、心理学に応用されました。

 そしてその真理は北海道大学に赴任した、ウィリアム・スミス・クラーク博士の「少年よ大志を抱け。お金のためでなく、私欲のためでもなく、名声という空虚な志のためでもなく、人はいかにあるべきか、その途をまっとうするために。」との言葉に集約されるでしょう。

 ここでいう大志とは野心とも翻訳することが可能ですが、日本人は大志と翻訳しました。それこそが日本人をして真にプラグマティズムを理解することができる証左となるでしょう。

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お天道様に恥ずかしくない生き方

プラグマティズムの作法は2点あり、1つはどのような取り組みにおいても、その目的を見失わないようにするということです。もう1つは、その目的がお天道さまに対して恥ずかしくないかという点にあります。

 プラグマティズムの本質は、真・善・美の追求です。ここで忘れられがちなのが、その目的が美しきことなのか?という点にあります。世間の役にたつのかと言い換えても良いでしょう。

 目的がお天道さまに対して恥ずべきことでなければ、それは経済的な勝者たりうると考えるのです。つまり野心をビジネスの中心のおくのではなく、大志を目的とすべきだというのが、プラグマティズムの本意となります。

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社会にとって良い会社でありたい

 この点について「プラグマティズムの作法」の著者である京都大学大学院工学研究科教授である藤井 聡氏は2つの会社の実例をあげて検証しています。

 1つは常盤堂雷おこし本舗社長の「自分が大好きなお菓子を、伝統を堅持してお客様に提供する。そしてお客様によろこんでいただく。という考え方です。

 この考え方は、日本商人の伝統的な考え方である「三方よし」という理念に沿っています。

 「三方よし」というのは「売り手よし、買い手よし、世間よし」という考え方であり、これは企業が利益を得るだけでなく、お客様がよろこび、しかも社会にとってもよい事でなければならないという意味です。

そして藤井氏は、日本の経済界が逼塞感を払拭するためには、他者に敬意を表することだと結論付けています。

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商品を愛しているだろうか

翻って、世界の経済界から、スティーブ・ジョブズと、ザッカーバーグの2人を見て見ましょう。

 スティーブ・ジョブズは、自分の夢や目標を具体的な形にして、メンバーに見せて共有しています。目標の見える化ですが、マックも出来ていない時に、理想のマシンを提示し、報酬ではなく理想でもって人を動かしました。

 アップルが誕生したとき、スティーブ・ジョブズは他社と比べてこのように語っています。「あいつらは自分が作っているものを愛していない、僕らはちがうんだよ。」と。

 
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スティーブ・ジョブズは未来を作った

商品に対する愛情こそが仕事と人生を両立させるカギだと言い切って憚らないジョブズは、他人を口説くときに、「僕らは未来を作るんだ!」と言ったといいますが、それをジョブズ自身が信じ、愛し、目標としてきたのです。

 そしてアップルのコンセプトは、小学1年生でもわかるマニュアルによく表れています。だれでもが簡単に使えるという夢をスティーブ・ジョブズは実現しました。

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ザッカーバーグは熱くなる仕事をした

 ではザッカーバーグはどうでしょう。ザッカーバーグのフェイスブックが、ハーバード大学の学生寮から始まったのは、有名なお話です。

 この当時のことをザッカーバーグは「コンピューターなら熱くなれるから。」と語っています。ジョブズと同じように好きなこと、熱くなれる道に進んだわけです。

 ザッカーバーグの元には、フェイスブックの買収の話がドンドンもと持ちこまれましたが、お金のために働くのではないとして、全て断ってしまっています。

 10億ドルでの買収の話が出た時には、多くの仲間がザッカーバーグの元を去っていっきました。僅か数年で10億ドルの儲けになるのに、それを断るのが理解できなかったようです。しかしザッカーバーグにとって仕事とはお金を儲けるためではなく、新しい何かを作り出すためのものでした。後年、フェイスブックには150億ドルという価格での買収額が提示されています。

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世界をその手に!

 スティーブ・ジョブズが亡くなった時、ザッカーバーグは次のような言葉を贈っています。
「スティーブ。指導者、そして友人でいてくれてありがとう。世界を変えられることを見せてくれてありがとう。」

 ザッカーバーグの理念もスティーブ・ジョブズと同じく、世界を変えることでした。

 こうしてみていくと、ビジョン経営における目標設定の重要性と、その視覚化が必要な理由が見えてきます。

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本当にほれ込んでいるだろうか?

会社経営者にとって、自分の提供する商品を好きであること、ほれ込んでいることはとても大事なことです。自分が熱烈に愛してもいないものは、他人にたいしてもその熱を伝えることができないからです。

 そして自分が愛するものであるならば、その想いを社員や世間と共有することが可能でしょう。それが目標の視覚化ということです。

 ジョブズが未来を明確に提示したように、あるいは常盤堂雷おこし本舗の社長が250年の伝統で作り上げる商品に誇りと愛情をもっているように、社長の熱と力を社員が共有できれば、お金ではなくその理想に社員がついてきてくれるでしょう。

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社員が一体感を持つ

 バブル時代は熱に浮かされていたともいえますが、すくなくとも社員に一体感があり、どれほど忙しくても仕事が苦にならなかったと経験者は言います。

 同じように一体感をもつ方法としてビジョン経営は優れています。ただしビジョン経営にもデメリットは存在します。

 それは社員が一体感を持つあまり、まるで金太郎飴のように、みんなが同じことしか見ていない脆さです。
 
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グループセッションでリーダーの自覚を持つ

そこで必要になるのが対話によるセッションです。グループセッションを行うことで各自の問題点を浮き彫りにし、より良い方向性を探ることができます。

 このセッションで重要なのは、まるで映画でもみているようにそのシーンが全員に共有、共感できるように語ることです。

 クレームやミス、あるいは成功例なども、その時相手が言ったことば、空気感、自分がどう感じたかまで、明確にできれば、次に同じことが起きた時にどうすれば良いかを知ることができます。

 ビジョン経営と内省セッションを組み合わせることで、自分で判断できるリーダーを養成していくことができるでしょう。

その時には社員ひとりひとりが、会社の顔となって責任と自信を持って行動することになるでしょう。そんな会社ならきっと世間にとっても良き会社であると言えます。



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参照
「ミンツバーグ教授のマネジャーの学校」フィル・レニール、重光直之
「プラグマティズムの作法」藤井聡
「フェイスブックをつくったザッカーバーグの仕事術」桑原晃弥
「スティーブ・ジョブズ全仕事」桑原晃弥
「トライブ」セス・ゴーディン
「ヤンセンファーマ脅威のビジョン経営」関口康
「ソクラテスと朝食を」ロバート・ロウランド・スミス


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