Googleが求めているのはイノベーションではなく社員のやる気と主体性。 「一から全て指示して欲しいなら海兵隊に行けばいい」

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近頃、新聞や雑誌などで「イノベーション」が盛んに取り上げられていますが、その理由は、グローバル化への対応や急速な変化に対応するために欠かせないと思われているからです。
事実、ある会社の経営者は「確かに、我が社でも以前のような売り上げを維持する事が難しくなってきている。業界そのものが芳しくないが、その中でも我が社は健闘しているが、将来の事を考えるとイノベーションは欠かせないと考えている。」また別の経営者は、「業界が今は伸びていて、我が社もその波に乗っているので今は良いが、これがこれから先も続くとは思えない、何とか今のうちにイノベーションを起こせる会社にしたいと思っている。」などと多くの経営者が関心を持って取り組んでいるのがうかがえます。
ところが、このイノベーションを生む為には権限委譲を進めなければいけない事をしっかり踏まえているところは少ないようです。

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『マウイ島ラハイナ沖の青く澄んだ海の上をサンタフェは静かに進んでいたとき、私はマルケ艦長と2人で水平線を眺めながら潜水艦のブリッジに立っていた。しばらくすると、若い士官が「艦長これから水深120mの深度に潜航します。」と言った。その日、一日全ての報告が、「これから~します」と結論を伝える内容。艦長はそれらに対して「よし」と応えるだけであった。』と“7つの習慣”の著者フランクリン・コヴィー博士が潜水艦サンタフェでの時間を回想します。
マルケ艦長とは、デビッド・マルケ元米国海軍大佐。彼がその著書「最強組織の作り方」の中で、部下と共に、最弱の潜水艦を最強にしていくまでの実話を語っています。

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それまでの海軍艦船は、艦長によってその成果が決まります。船の全ての情報を把握し、全ての指示を出すのが艦長の役割であるからです。副艦長であっても例外ではなく、自ら考えて行動する事はありません。艦長の指示が無いと何も出来ないのです。それが海軍の常識であったと言います。ところがデビット・マルケが艦長として指揮を取った潜水艦サンタフェで、この常識を覆し、情報の集まるところに決定権を与えていきました。海軍では有りえない権限委譲を進めていったのです。何が起きたのか?乗組員は自ら進んで考え、行動し、自らの行動の責任を引き受けるようになっていきます。そうなれば、任務遂行の責任感と主体性が生まれてくるのにさほど時間はかかりません。こうして乗組員は目覚ましく成長し米国海軍最強の組織が出来上がっていきます。

このように権限委譲は人の主体性を生み、成長を促し、組織を強くしていきます。そしてその結果、イノベーションを生む土台が出来上がっていきます。しかし、一方で、「権限委譲したら、仕事がいっこうに進まないどころか、こちらが望む仕事をせず、勝手にやるので、部下のしりぬぐいで大変だ」と言うリーダーがいます。
それは、権限委譲と丸投げの区別が出来ておらず、実は丸投げをしていませんか?

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権限委譲は、権限を委譲していく部下の役割と求められる成果責任を、最初に明確にする事が重要です。そして次に期待する成果に合わせた権限を確認し委譲していきます。同時にその部下の能力を客観的に把握しながら、結果ではなく、結果に至るプロセスのフィードバックを随時行っていきます。結果に関して、まず部下本人が検証し、次に生かしていく為の内容を上司と共有していく。
本来、これぐらいのプロセスを踏んで権限委譲していきます。ところが、仕事は任せられ、結果責任は問われ追及されるが、それを遂行する権限は与えられないか、曖昧な状態で進んでいく。任せられた方は、思い切った行動が取れず、都度上司に相談せざる負えない状態が最後まで続く。これは丸投げ状態であって権限委譲ではありません。これでは、確かにリーダーは大変ですし、部下も成長しないかもしれません。当然イノベーションも進みません。

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権限委譲が進んでいる状態であれば、人は自らの責任において、自ら考え行動していきます。そこに組織としての明確な目的や方向性が加わる事で、それぞれがバラバラにならず役割を共有しながら成果に向かって進みます。
役職にこだわることなく成果を求めた話し合いが頻繁に行われ、風通しの良い組織となっていきます。会社の中にこだわらず、自ら外へと情報収集や学びに出ていく事も増えていくでしょう。失敗という言葉も死語になっているかもしれません。組織の目的に向かってチャレンジしていく人々には、思い通りの結果が出なかった事実は全て目的に向かう為の一つの貴重なデータになるからです。そんな組織には思いを一緒にした、多様な能力を持った人が自然と集まってきているでしょう。

このような組織になればイノベーションという言葉を敢えて唱える必要はもはやなく、自然と何かが絶えず生まれてきています。

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いまや世界で最もイノベーティブと言われる、GoogleやAppleはまさしくこのような組織を作り上げています。社員一人一人が主体性を発揮してその役割や能力に応じて権限委譲されています。元Googleの会長(現Alphabet会長)のエリック・シュミットは「一から全て指示して欲しいなら海兵隊に行けばいい」とまで言い社員に主体性を求めています。そしてそれに応えているからこそ、Googleがあるのではないでしょうか。

日本の企業でもサントリーの「やってみなはれ」の精神が失敗を学びと変え、主体性を発揮しているからこそ、ビール事業スタート後の46年目にして黒字化を実現し、14年もの歳月を費やし青いバラを開発したものと考えます。
イノベーションと権限委譲という一見関係が無いようなところに大きな繋がりがある事を意識して、成長し続ける会社をサポートしていければと思います。

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~人が生きる奇蹟の組織創造を目指して~ 株式会社ワールドユーアカデミー 

参考)How Google Works エリック・シュミット著 日本経済新聞出版社刊WORK RULES! ラズロ・ボック著 東洋経済新聞社刊
「最強組織」の作り方 L・デビッド・マルケ著 東洋経済新聞社刊

別の記事を読む → http://blog.world-u.com/

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