「やっぱり幸せじゃないなって。感情を殺して生きていってもやっぱり幸せじゃねーなって思えた。」 「あるべき姿」を模索し、完全結果主義者だった鈴木正人社長が今求める幸せな働き方とは。

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「もっとこう役に立ちたいなって、もっと提供できることないかなって。」と記憶を辿るように話すのは、2年前からワールドユーアカデミーに参加している福島県の本宮会計センター三代目社長、鈴木正人氏です。

そんな鈴木氏はほんの数年前まで、社員が辞めていくことは“誤差の範囲内”だと考えていて、社員に対して次のような心持ちでいたのだそうです。

「人が気持ちを踏みにじられる辛さだとか、裏切られる辛さだとか傷つく感情に蓋をして、とにかく前に進んであんまり向き合おうとしなかった。」

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「当たり前に3代目として歓迎されると思っていた」

振り返れば、バブル絶頂期の東京で会計事務所につとめていた鈴木氏が、初代社長であった父が亡くなり経営が二代目社長に移っていた本宮会計センターに戻ることを決めたのは、東京で約10年の経験を積んだ31歳の時でした。

当初社員として入社しましたが、「当たり前に、3代目として迎えてもらえると思っていた」と、当時個人事務所での実力もさほどなく、顧客もまだ付かない自身が感じた孤独や歓迎されていない感があり、周囲に認めてもらうためには何が必要かと模索し、専門の会計学だけでなく、中小企業の為に役に立ちたいという目標から経営や社長学を夜な夜な読んでは書写するようになったそうです。

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自らセミナー講師としてセミナーを開催する事で徐々に顧客が増え始めた

鈴木氏は月1回のペースで東京で行われるセミナーにも、「もっと勉強がしたい」という一心で通い続けましたが、いつしか似通ったトピックのセミナーでも受講者を夢中にさせる講師とそうでない講師の違い、言わば「講師のいろは」に気づいたことがきっかけで、自身でもセミナー講師を勤めるようになり、中小企業に向けたセミナーを開催しながら営業にもさらに力を入れるようになると、地元福島のより多くの人に自社を知ってもらったことで顧客が徐々に増えていきました。

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33歳で3代目に就任してから本格的に鈴木氏が本宮会計センターを率いるようになり、よりよいサービスを生み出し利益を上げ、着々と会社の規模が拡大し、社員の数も5人から30人以上にまで増えていったことは、鈴木氏が社長として描いた未来図を実現したと言えるものだったことでしょう。ただ鈴木氏の中には、心では納得できていない部分が常にあり、そこにおよそ8年間ついてきてくれた40代の社員が理由もはっきりとわからないままに会社を去ってしまうという出来事が起きて、心のしこりとなっていました。

その頃、まだ会うのも2度目だった知人にお酒の席で胸のうちを打ち明けてみた鈴木氏は、話を聞いたその知人が泣き出す様子を目の当たりにし、「そんなに僕のことを心配してくれてるんだ。なんて優しい人なんだ」と、久しく味わっていなかった感情に包まれます。

後に友人となったその人は、流した涙の本当の理由を「鈴木さんを思っての涙ではなく、去っていく社員がかわいそうで涙していた」と話したということですが、その涙は鈴木氏の心が動き出すきっかけとなり、ワールドユーアカデミーでの研修をスタートした鈴木氏は、利益を上げても満たされなかった自分の心と向き合うようになっていきました。

そして、長年押し殺してきた鈴木正人という一人の人間としての感情は、社長としての鈴木氏を塗り替えていくようになるのです。

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「社員が辞めるって言った自分が泣いてないのに、隣で知人は泣いていた」

「こう自分の姿っていうか自分の内面を、自分が感じたことを絵にしていくんだよ。不思議なことは、なんでその絵を描いたのか、なんでその色を使ったのかで。いろいろ、なんだろう、こう感じるまま言葉にしていくとすごく自分が不思議に見えてくる。」

ワールドユーアカデミーで、こういった感情と向き合う心のトレーニングを積むようになった鈴木氏は、社員がしてくれたどんな小さな事に対しても「ありがとう」と素直に感じることができるようになり、その感謝の気持ちを以前よりストレートに表すようになりました。すると鈴木氏は、まず一番近くにいた秘書のモチベーションが目に見えてあがっていることを実感するようになったそうです。

「プラスαの一つ仕事を頼んだ時のプラスαの中身の濃さがぜんぜん違うし、あとは自分からとにかくその仕事を進めてくれる。だから僕の期待値以上の、そこまでやってくれたの、ほんとありがとねっていうシーンがものすごく増えた。」

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「どんなに目をつむっても、人間には感情があるんだよね」

トレーニングを受けるようになるわずか2年前、「僕は社長なんだから」と自身の頭の中で描き上げられていた“あるべき”社長の姿があった鈴木氏は、その秘書をサンドバッグのように繰り返し叱咤していたそうですが、社長として社員に期待していたために、時にきつい言葉を投げてでもパフォーマンスを上げるべきだと行動する一方で、社員を傷つけたくない、幸せにしてやりたいという感情をうまく現実化できず、心の底から「みんな、おはよう」と言う気にさえなれなくなり、会社に行くのがこわくなった時期もあったそうです。

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「平均して(社員が)10人いるとして、そこに家族が3人いるとしたらその3倍はいるわけだよ。そしたら100社いたら3000人の生活かかってるわけだよ。そういうのを理屈で考えていけば中途半端な仕事はできない。」

そんな使命感が鈴木氏にとって長年の原動力でしたから、彼からの社員に対する期待も大きく、顧客に良いサービスを提供するという目標の元で集まった仲間同志だから、社員一人ひとりとの人間的繋がりと言うよりも、会社として出せる数字や結果を重視し、「社長と社員の関係であって、それ以上でもそれ以下でもあってはいけない」という社長としての自分が心の中を支配していました。

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「社長になった以上はとにかくやんなくちゃいけない、っていうもんだと僕は思っていた」

「普通がいいという病」を執筆した精神科医の泉谷閑示氏は、東北大学医学部を卒業後フランスの大学院にて音楽を学んだ末に、精神療法を専門とするようになるという異例の経歴の持ち主ですが、泉谷氏によると、類人猿を除く多くの動物は、そのとき身体に必要なものについて「頭」で余計な理屈をこねず、いつも「心」=「身体」の状態にあり、それが生きもののあり方なのだと言います。

ところが、現代に生きる人間の多くは、「頭」が独裁者としてふるまい“専制国家”のようにコントロールしていて、頭で考える“あるべき姿”と心で感じる幸せがずれてしまっている事が多いのだそうで、確かに、鈴木氏は「頑張れば頑張るほど、理想が離れていった。」と数年前の自分の体験をなぞるかのようにかみ締めていました。(Kindle: 「普通がいい」という病)

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無意識の思いは、意識的に思うことの2万倍の力で人を動かしている

目標に向かって足並みを揃えることが出来ない、自分の求めるものにそぐわない社員がいると否定的にみてしまい、「こうしなくてはいけない」という社長として思い描いていた理想像に縛られいましたが、やがて鈴木氏はその理屈を自分に言い聞かせているだけだと気づいていきます。

「やっぱり幸せじゃないなって。感情をどんなに殺して使命のために生きていってもやっぱり幸せじゃないなって、僕自身が幸せじゃねーなって思えた。」

幸せを感じさせる脳内物質などに関する研究により、“世界で一番幸せな僧侶”と称されるようになったフランス人の僧侶マチウ・リカール氏は、真実は物事のあるがままを理解することにあり、多くの人は外に向かって物質的な何かを求めるばかりで、内在する完成の可能性に気づいていないとして、著書「Happiness幸福の探求-人生で最も大切な技術」の中で、次のように述べています。(p32)

「ちょうど、自分の小屋の床下に埋められた宝の存在を知らずに、どん底の生活をする乞食と同じである。自分本来のあるがままの姿を実現することは、隠された宝を手に入れるのと同じことで、本当に意義深い人生を送ることを可能にしてくれる」

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「会社の空気が沈んじゃうというか低迷しちゃうというか、それが怖くて近づけない」

確かに今、鈴木氏が鈴木正人という一人の人間としてあるがままを感じようとしている中で、以前は向き合うのを怖いとさえ感じていた周囲に対して社長と社員としての関係ではなく、「1人の人間としての付き合いを持ちたいなって考えるようになった」という温かい感情を口にしており、正直に自分の感情と向き合いアウトプット出来るようになった分、会社の仲間を見つめる眼差しも愛に変わりつつあります。

「使命感ではなく、仲間なんだから、彼らのペースを大切にしながら一緒に目標へ向かっていきたい」と思うようになったのは、去年初めて会社の幹部3人と一緒に山登りをした時からだと鈴木氏は振り返ります。

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「幹部3人の存在に助けられているんだ。だから頼れるところは頼りたいと思った。」

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「来年は仲間とカナダのロッキーに登るんだよ」

必死なオーラや尖った態度が消え、「代表は変わった」と言われることが増えたという鈴木氏は、どうやって変わっていったのかというプロセスを尋ねられると決まって「不思議だけどわからない」と答え、ただ、自覚のないところでも確実に変化しているのは、何か解説できるような方法論に頼るのではなくて、ワールドユーアカデミーに来て「心のトレーニング」をしていることによるところが大きいのだと、以下のように語りました。

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「一緒にセミナーを受けている他の社長さんたちが、自分たちの悩みや弱い部分をセミナー仲間たちと共有して、みんなでその悩みに真剣について考える姿を見て、自分も弱い部分を見せてもいいんだって思えたんだよな。弱いところをみせても周りは支えてくれるんだって。感情に従って周りと調和しながらその目的に進んでいくっていうそういう世界を自分の力で作っていく、そういう力を身につけさせてくれてる、トレーニングをさせてくれている、それも本当無理なく自然と。ここがすごいと思う。」

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自分の心と素直に向き合い心をトレーニングすることは、「この次のステップであなたはこう変化していく」と決められた道筋を進んで自分が変わるのではなく、ただ心を現にすることなので、トレーニングを重ねるうちに、頭にゆり戻されがちな私たちが抱える“あるべき姿”と、根源的にある人としての自分との間に生じがちな緊張や葛藤は自ずと解けていき、それは「無理なく自然と」と述べていた鈴木氏のコメントにも見られます。

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「いつの間にかバブルの価値観とは真逆になった」

約20年という間、”あるべき社長の姿”にとらわれ、自分からも社員からも感情を感じることに自制をかけていた鈴木氏に心を取り戻させるのは、心のトレーニングを筋トレのように継続的に行うことにありますが、たとえば体を全く動かさない人は、太ったり体が硬くなったりして動きの自由度が狭まってしまうように、実は心も定期的にトレーニングをしてあげないと健全に作動せず、自由に動けなくなってしまうそうです。

フルマラソンを完走するためにはトレーニングが必要不可欠になってきますが、初めは苦しく辛い42.195kmであってもトレーニングを重ねることで気づけば楽に完走できるようになっていくのと同じイメージで、定期的なトレーニングによって心も無理なく動くようになっていくといいます。

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「何のために働き方変えていきたいのかってなった時に、ほんとの幸せのために。」

鈴木氏は社員に会うのを怖いと感じる自分と向き合い、徐々に自身の感情に正直になれるようになると、心の深い部分でつながれば後は社員たちの力を信じればいいという気持ちになり、社員やワールドユーアカデミーでの仲間、そして家族にも、ちゃんと支えてもらえてるという安心感が生まれ、「社員の顔を見たいなー」と思って心から笑顔で会社に行くことが増えていき、心のトレーニングをはじめてからはまだ一度も送別会をしていないと言います。

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長く会社の経営に携わっていると社長の自分が弱い気持ちを受け入れると全体が弱い方向にいきそうで、それを見ないことにして気を張り続けてしまうものですが、幸せは弱いとか強いとかいうことに左右されるものではなく、ただそこにあるものに気づき、受け入れるところから広がっていくものなのかもしれません。

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